見えない世界を体験してみた 〜57期東京プログラムレポート5〜

「Musical For All––あらゆるひとに参加と鑑賞の機会を。」この新プロジェクトが立ち上がった今年2023年は、コロナ禍で休止していたコモンビートのメインプログラムである「100人100日ミュージカルプログラム」の再開の年でもあります。

学生・留学生・教員・エンジニア・看護師・デザイナー・農家・市役所職員・主婦・経営者・警察官まで…これまで全国で6800人の市民が舞台に立ったミュージカルプログラム。団体発足から20年間、年齢も職業も価値観の違いもこえて、あらゆる人が一緒に汗を流し、心を動かし、共通のメロディーを奏でてきました。

MFAを掲げた今…その参加の機会をより多くの人に届けたい!

参加者の多様性の幅を広げるには?どうしたら、いろんな違いを歓迎して活かし合って、みんなでエンタメを楽しめるのか?

8月に公演を終えた、57期東京 100人100日ミュージカルプログラムの裏側を、前回に引き続きお届けします!


こんにちは!57期キャストのななです!

今回のブログは、57期東京プログラムの練習にて行われた、「日本ブラインドサッカー協会」(以後ブラサカ)さんによる、「見えない世界」を体験するワークショップについて、レポートします!

みなさんは、「ブラインドサッカー®︎」をご存知でしょうか?ブラインドサッカーとは、視覚に障がいのある選手が行う5人制サッカーです。ゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールを用いてプレーしています。

今回のワークショップには、選手と事務局の方が来てくださり、実際にアイマスクを付け、「見えない」状態で様々なことを体験しました。

アイマスクを付けて歩く・ボールを蹴る、というワークショップでは、視覚情報が遮断されると、動くために頼りにできるのは聴覚と触覚だけで、いかに普段視覚情報を頼りにしているか、が実感できました。また、ゴールの場所を教える「ガイド」も体験したことで、わかりやすく・伝わるように伝える「語彙力」の必要さを実感すると同時に、視覚情報の言語化の難しさも痛感しました。

最後に、「アイマスクを付けて体育館に散らばった状態から全員でひとつの輪をつくる」という最難関のワークショップがありました。

まず、全員が目隠しをした状態で体育館に散らばりました。「よーいスタート」の合図とともに、みんなが一斉に声を出して「自分がここにいる」ことを発信し始めました。次第に出会った人と手を繋いでいって、だんだんとかたまりを作っていきました。

しばらく時間が経って、いくつかのかたまりはできているものの、「ひとつの輪になれない」まま、ざわざわしているだけの時間がありました。このとき、この状況をリードする人がいなくて、「不安感」が漂いはじめました。

そしてどこからか「一旦静かにして!」「今どうなってるのか整理しよう」という声が上がり、はじめて、リードする数人の声を全員が聞くことのできる状態になりました。今まで「発信」ばかりしていた私たちが、「聞く」ことで全体の状況を把握し、「どうしたらひとつの輪になれるか」を全員で考え、全員がみんなのために動きはじめました。

ひとりの人を起点に、隣の人へ順に名前を言っていき、「全員で輪を作れたことが確認できた」とき、安心感と達成感がありました。

そのときなんと、私たちを見守ってくれていたブラサカさんから追加ミッションが…!「じゃあ、その輪を綺麗な円にしてみよう!」と。

目で見て「綺麗な円」かどうか確認はできないし、両手は繋がっているしどうしたら…とまたざわざわ。そんなとき、「私、やる!」と力強い声がしました。それは、視覚に障がいをもって参加している、あっこの声でした。あっこは、ものすごい速さで私たちのつくった輪を手で触りながら駆け抜けて、「ここがこぶみたいになってるから下がって」と、どんどん円を整えてくれました。そしてついに「全員でつくった輪」が完成し、目隠しを外して見えたのは、いつもの円陣のときに見ているのと同じ光景でした。

今回のワークショップで、見えない世界でのコミュニケーションを体験したことで、「相手に伝わる言葉で発信すること」「お互いの話をよく聞くこと」そのうえで「わからないことを発信すること」「自分が踏み出しチャレンジする勇気と周りを信じる勇気」の大切さを体感することができました。また、「見えない世界」を体験したことで、普段「見えない世界」を生きているキャストの仲間が、こんなにも大変な思いをしていることを知り、今まで以上にリスペクトの気持ちでいっぱいになりました。

この日を通して私たちは、もっとお互いを信じ、伝え、理解し合おうという気持ちが高まり、より57期の結束力が高まったことを実感できました。