コミュニケーションで「補い合って」、お互いがもっと輝く〜57期東京プログラムレポート2〜

「Musical For All––あらゆるひとに参加と鑑賞の機会を。」この新プロジェクトが立ち上がった今年2023年は、コロナ禍で休止していたコモンビートのメインプログラムである「100人100日ミュージカルプログラム」の再開の年でもあります。

学生・留学生・教員・エンジニア・看護師・デザイナー・農家・市役所職員・主婦・経営者・警察官まで…これまで全国で6800人の市民が舞台に立ったミュージカルプログラム。団体発足から20年間、年齢も職業も価値観の違いもこえて、あらゆる人が一緒に汗を流し、心を動かし、共通のメロディーを奏でてきました。

MFAを掲げた今…その参加の機会をより多くの人に届けたい!
参加者の多様性の幅を広げるには?どうしたら、いろんな違いを歓迎して活かし合って、みんなでエンタメを楽しめるのか?

前回に続き、5月から練習が始まった、57期東京 100人100日ミュージカルプログラムの現場からレポートを、お届けします!


こんにちは!大陸結成で、気品の緑大陸に配役が決まりました、57期キャストのななです!今回のブログでは、各シーンの練習が始まり、チケットの販売も始まり、と、プログラムが本格的に動き出した、6月の57期の様子をレポートします。

大陸が決まり、配役も決まり、いよいよ各シーンの練習、ダンスや歌の練習が始まりました。演出チームから振りを教えてもらったら、あとはそのシーンに出演するメンバー同士で教え合って練習していきます。80人キャストがいれば、誰かが忘れてしまっても誰かは覚えているはず。「わからない」や「できない」ことを声に出し、「わかる」「できる」ことも声に出す、どちらも勇気の必要なことですが、練習はそのようなコミュニケーションのもと、お互いを「補い合う」ことで成り立っていました。

夢中で練習をしていると、練習の時間は本当にあっという間にすぎていきます。限られた練習時間の中では足りないコミュニケーションを補うために、スタッフのみんなが考えてくれた工夫をいくつかご紹介します。

ひとつは、「Kira Kiraカード」です。57期のテーマ「Shine!~これが57期の宝石箱やぁ!~」にちなみ、このカードは、「この人のここが素敵!」と思ったことをカードに書いてポストに入れると、その人のもとへスタッフがカードをお届けしてくれる、というもの!直接伝えるのは恥ずかしくても、練習中で話しかけにくくても、このカードに書くことで思いを伝えることができます。カードをもらうと、「誰かが見てくれていた」ことが自信になりますし、誰かに見つけてもらった自分の個性や「自分のキラキラ」を手元に残しておくことができます。

また、このカードがきっかけになって、会話が生まれることもあります。私は初めてカードをもらったとき、とっても嬉しくて、その時から毎回の練習で必ず誰かに向けてカードを書いています。

もうひとつは、「MFA企画室」という企画です。練習時間の中でキャスト一人ひとりについて、じっくり話を聞いて知る、というのはなかなか難しい…ということで、平日の夜にZOOMで「キャストのひとりにフォーカスを当ててその人について知る」時間をつくっています。57期には、視覚や身体にハンディキャップをもって参加しているキャストが3人います。この「MFA企画室」では、そんなメンバーの、バックグラウンド・プログラムに参加している中で困っていること・社会の中で困っていること・舞台でもっとこうしたい…など、を時間をかけてじっくりと知ることができました。

どんなハンデをもっていようと、同じ「キャスト」です。全員が同じように思いっきり「表現」を楽しめるように、「できない」ことを、「できる」方向へ、「新しい表現」へと導いていけるような、今以上に双方向のコミュニケーションが活発に飛び交う場にしたいと思えた時間になりました。

そしてついに、57期公演のチケットが販売開始しております!今回より、一般チケットに加えて「アクセシビリティチケット」の販売もございます!より多様になったコモンビートを、より多様な人に会場で観ていただきたい…!
次回のブログでは、いよいよ後半シーンの練習に突入です!お楽しみに!


コモンビートでは、ミュージカルの出演も鑑賞も、その機会を広げる取り組みを行なっています。その一環として、見えない・聞こえない人がミュージカル観劇するためのアクセシビリティを整備するクラウドファンディングにも挑戦しています。ぜひ、本番の姿まで応援いただけると幸いです、